63 歳の男性。吐血のため救急車で搬入された。

現病歴:2年前から食後に心窩部痛を感じていたが、多忙であったために医療機関を受診していなかった。最近になって、常に心窩部不快感があり食欲低下と全身倦怠感とを感じるようになった。2日前に便が黒いことに気付いたが、今朝、排便後に真っ赤な血を大量に吐いたため救急車を要請した。


この患者への対応として必要性が低いのはどれか。

a. 血圧測定

b. 血液検査

c. 尿量測定

d. 止血薬投与

e. 静脈路確保

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既往歴:50 歳ごろに脳梗塞。抗血小板薬を処方されている。

生活歴:喫煙は 20 本/日を 43 年間。飲酒は焼酎合1/日を 38 年間。

家族歴:父親が胃癌。母親が高血圧症。

現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 72 kg。体温 36.3 ℃。心拍数 96/分、 整。血圧 98/68 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 96 %(room air)。眼瞼結膜は貧血様だが眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、心窩部に軽度圧痛を認める。表在リンパ節を触知しない。

検査所見:血液所見:赤血球 276 万、Hb 8.7 g/dL、Ht 28 %、白血球 6,400、血小板 28 万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.4 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 45 U/L、ALT 56 U/L、LD 344 U/L(基準 176〜353) 、ALP 322 U/L(基準 115〜359) 、γ-GTP 87 U/L(基準8〜50) 、アミラーゼ 120 U/L(基準 37〜160) 、CK 78 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチ ニ ン 0.8 mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 108 mg/dL、HbA1c 5.8 %(基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 250 mg/dL、トリグリセリド 190 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 100 mEq/L。上部消化管内視鏡像を別に示す。

治療として適切なのはどれか。

a. 胃局所切除術

b. 幽門側胃切除術

c. 内視鏡的止血術

d. 選択的迷走神経切除術

e. 内視鏡的粘膜下層剝離術

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その後の治療薬として適切なのはどれか。

a. 消化酵素薬

b. 胃粘膜保護薬

c. 運動機能改善薬

d. 蛋白分解酵素阻害薬

e. プロトンポンプ阻害薬

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)