84歳の女性。ふらつきがあり、頻回に転倒するため夫と来院した。

現病歴:2か月前に腰椎圧迫骨折を起こし、自宅近くの病院に入院した。入院後は腰痛のためベッド上で安静にしていた。徐々に痛みは改善し、1か月後、自宅に退院したが、退院後にふらつきを自覚し、転倒するようになった。ふらつきは特に朝方に強い。難聴と耳鳴りは自覚していない。入院した病院で頭部を含めた精査を受けたが原因が明らかでなく、症状が改善しないため受診した。

既往歴:68 歳時から糖尿病と高血圧症、75 歳時から逆流性食道炎と不眠症。

生活歴:夫と人暮らし。喫煙歴と飲酒歴はない。入院までは夫と飲食業をしていた。リハビリテーションは週1回続けている。

家族歴:父親は胃癌で死亡。母親は肺炎で死亡。弟は糖尿病で治療中。

現症:意識は清明。身長 150 cm、体重 36 kg(2か月前は 40 kg)。体温 36.0 ℃。脈 拍 72/分、整。血圧 146/78 mmHg (立位 3分後 138/74 mmHg)。呼吸数 16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。脳神経に異常を認めない。眼振を認めない。四肢に明らかな麻痺を認めない。 筋強剛を認めない。握力 14 kg(基準 18 以上)。指鼻試験陰性。Romberg 徴候陰性。明らかな歩行障害を認めない。通常歩行速度 0.7 m/秒(基準 0.8 以上)。手指振戦を認めない。振動覚と腱反射は正常である。

検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖 1+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 403 万、Hb 12.1 g/dL、Ht 38 %、白血球 7,400。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、AST 22 U/L、ALT 14 U/L、LD 278 U/L(基準 176〜353)、 CK 90 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 21 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖 128 mg/dL、HbA1c 7.4 %(基準 4.6〜6.2)、総コレステロール 186 mg/dL、トリグリセリド 100 mg/dL、HDL コレステロール 50 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 97 mEq/L。心電図に異常を認めない。高齢者総合機能評価<CGA>: 基本的日常生活動作(Barthel 指数) 100 点 (100 点満点)、手段的日常生活動作 (IADL スケール) 8点 (8点満点)、Mini-Mental State Examination<MMSE>27 点 (30 点満点)、Geriatric Depression Scale 2点(基準5点以下)。


患者の状態として最も考えられるのはどれか。

a. ADL 低下

b. 抑うつ状態

c. 身体機能低下

d. 認知機能低下

e. 社会的支援不足

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患者のふらつきと易転倒性の原因として最も考えられるのはどれか。

a. 貧血

b. 廃用症候群

c. 起立性低血圧

d. 認知機能障害

e. 糖尿病性神経障害

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来院時の内服薬を調べたところ、経口血糖降下薬、降圧薬、ビスホスホネート製剤、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、プロトンポンプ阻害薬が処方されていた。

まず減量を検討すべきなのはどれか。

a. 経口血糖降下薬

b. 降圧薬

c. ビスホスホネート製剤

d. ベンゾジアゼピン系睡眠薬

e. プロトンポンプ阻害薬

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)