46歳の女性。息苦しさと全身倦怠感を主訴に来院した。半年前に手指と手首の関節痛および頬部の皮疹が出現し、全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断で副腎皮質ステロイドとヒドロキシクロロキンが導入された。その後、症状は軽快していたが、1週前から息苦しさ、全身倦怠感および前胸部の違和感が出現した。症状が増悪するため、本日夜8時に救急外来を受診した。

体温 37.8 ℃。脈拍 102/分、整。血圧 100/72 mmHg。SpO₂96 % (room air)。頬部に紅斑を認める。両側の中指近位指節間関節と手関節の腫脹を認める。頸静脈怒張は吸気時に顕著となる。心音ではⅠ音とⅡ音の減弱を認める。呼吸音には異常を認めない。下腿に軽度の浮腫を認める。

血液所見:赤血球 346万、Hb 10.8 g/dL、Ht 33%、白血球 7,200、血小板 15万。血液生化学所見: ALT 26 U/L、LD 160 U/L (基準 120~245)、クレアチニン 0.5 mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉56 pg/mL(基準 18.4以下)。CRP 3.8 mg/dL。収縮期血圧は呼気時に比べ吸気時に18 mmHg低下する。胸部エックス線写真ではCTR 55%、肺野に異常を認めない。心電図では肢誘導に低電位を認める。心エコー図を別に示す。

この患者の呼吸困難感の原因として最も考えられる病態はどれか。

a. 心外膜炎

b. 心内膜炎

c. 間質性肺炎

d. 肺血栓塞栓症

e. 肺動脈性肺高血圧症

解答を見る
問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)