65歳の女性。健忘を主訴に家族に連れられて来院した。3か月前から家に引きこもりがちになり、倦怠感と不安とを訴えて外出しようとしなくなった。2週前からぼんやりして物忘れが目立つようになり、動作も緩慢になった。昨夜、誰もいないのに誰かを激しく叱っているところを家族が目撃した。

意識レベルはJCSⅠ- 1。活動性の低下を認める。身長154cm、体重67kg。体温35.4 ℃。脈拍52/分、整。血圧94/48mmHg。呼吸数12/分。顔面と両側の下腿とに浮腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは18点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)は20点(30点満点)である。四肢の近位部に徒手筋力テストでの筋力低下を認め、下腿四頭筋を叩打すると筋腹の膨隆が生じる。腱反射は打腱後の筋弛緩遅延を認め、Babinski徴候は陰性である。

原因として最も考えられるのはどれか。

a. 甲状腺機能低下症

b. 前頭側頭型認知症

c. ビタミンB12欠乏症

d. 進行性多巣性白質脳症

e. 筋強直性ジストロフィー

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)