問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
78歳の女性。異常行動を主訴に来院した。2年前から徐々に物忘れが目立つようになり、1年前に軽度認知機能障害〈MCI〉と診断された。日常生活に支障がないため経過観察されていた。1か月前、自宅で夫と昼食中に急に箸を落とした際に、夫が声をかけたが返事をせず、動作が止まって中空を見つめ、唾をコックンコックンと飲み込むような動作を繰り返していた。1分程してから突然立ち上がり、部屋の中を行ったり来たりするため、夫が制止しようとすると激しく抵抗した。30分程して徐々に会話が可能となり、普段通りの状態に戻ったが、本人はこの間のことを覚えていなかったという。このような異常行動が1週間に2、3回みられるため、心配した夫に付き添われて受診した。
意識は清明。身長148cm、体重46kg。体温36.2℃。脈拍64/分、整。血圧116/68mmHg。呼吸数18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール21点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。腱反射は正常で運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。
考えられるのはどれか。
a. せん妄
b. 常同運動症
c. 複雑部分発作
d. 一過性脳虚血発作
e. むずむず脚症候群
認知症がベースにある患者の複雑部分発作。