問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
76 歳の男性。腹部膨満感と腹痛を主訴に来院した。3か月前に急性単球性白血病(FAB 分類 M5)と診断され、数種類の異なる薬物による抗癌治療を受けた。しかし現在まで一度も寛解に至っていない。1週前から腰背部痛が出現したためNSAID を内服したが効果は不十分で、昨夜からは腹痛も出現し次第に増悪して自立歩行不能となったという。
意識は清明だが顔面は苦悶様である。身長 171 cm、体重 54 kg。体温 37.1 ℃。脈拍 88/分、整。血圧 118/78 mmHg。眼瞼結膜は貧血様である。胸骨右縁に収縮期駆出性雑音を聴取する。四肢に皮下出血を認めない。
血液所見:赤血球 282 万、Hb 8.0 g/dL、Ht 26 %、白血球 52,400(骨髄芽球 74 %、桿状核好中球%、分葉核好中球 12 %、好酸球1%、好塩基球1%、リンパ球 10% 、血小板 10 万。血液生化学所見:総蛋白 5.1 g/dL、アルブミン 2.8 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、直接ビリルビン 0.2 mg/dL、AST 34 U/L、ALT 37 U/L、LD 1,350 U/L(基準 120〜245)、尿素窒素 19 mg/dL、クレアチニン 1.3 mg/dL、尿酸 9.8 mg/dL。腹部超音波検査と腹部 CT で、広範囲に腸間膜リンパ節と後腹膜リンパ節の腫大が認められ、それによる消化管への圧迫と浸潤が疑われた。
現時点でまず考慮すべき治療はどれか。
a. アルブミン製剤投与
b. オピオイド投与
c. 血小板輸血
d. 全身放射線照射
e. 薬物による抗癌治療
急性単球性白血病の症例