問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
65 歳の女性。胸痛を主訴に来院した。1か月前から右胸痛を自覚していたが改善しないため受診した。13 年前に右乳癌で手術の既往がある。30 年前から建設業に従事していた。呼吸音は右下胸部で減弱、胸部の打診で右背側に濁音を認めた。
胸部エックス線写真、胸部造影CT及びFDG-PET/CTを別に示す。胸腔鏡下生検を施行した結果、カルレチニン免疫組織染色が陽性である悪性細胞を認めた。
この患者で高値を示すのはどれか。
a. 胸水ヒアルロン酸
b. 胸水トリグリセリド
c. 血清 α-フェトプロテイン<AFP>
d. 胸水アデノシンデアミナーゼ<ADA>
e. 血清アンジオテンシン変換酵素<ACE>
胸膜中皮腫の患者。
a 正解。胸膜中皮腫では胸水ヒアルロン酸が高値を示す。
b 胸水トリグリセリドは高値となるのは 乳び胸 - wikipedia
c 血清AFP高値となるのは肝細胞癌等である。腫瘍マーカーとして使用される。
d 胸水ADA高値は結核性胸膜炎が有名であるが、結核性胸膜炎に特異的な所見というわけではない。悪性リンパ腫や膿胸でも上昇するため注意しましょう。
e 血清ACEが高値となるのはサルコイドーシスや甲状腺機能亢進症等