問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
40 歳の男性。両下腿の皮膚のただれを主訴に来院した。職場で作業中に有機溶剤の入ったドラム缶が転倒し、下半身の広い範囲にクレゾールがかかった。そのまま作業を続けたが、着替え時に下肢の皮膚が赤くただれているのに気付いて受診した。診察時、事故から4時間が経過していた。両側下腿が全体に発赤、右下腿外側に面積約 20 cm² ほどのびらんがみられる。
患部のドレッシングを行った後、次に行うべき対応として正しいのはどれか。
a. これ以上の処置は不要である。
b. 翌日皮膚科を受診することを患者に勧める。
c. 痛時に服用するよう NSAID を処方し帰宅させる。
d. 臓器障害の全身管理が可能な医療施設に緊急に転院させる。
e. 抗菌薬を処方して、悪化すれば再度受診するように伝える。
クレゾールによる化学熱傷とクレゾール中毒の症例。
受傷面積が少ない場合でも、クレゾール中毒を起こす例が報告されており、注意が必要である。