問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
3歳の男児。顔色不良を主訴に来院した。2日前に38℃台の発熱があったが1日で解熱した。昨日の夕方からぐずることが多くなった。今朝になり顔色不良に気付かれ受診した。保育園で伝染性紅斑が流行しているとのことであった。
意識は清明。体温37.8 ℃。脈拍148/分、整。血圧94/56 mmHg。皮膚は蒼白。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に軽度黄染を認める。口腔内粘膜は蒼白である。咽頭に発赤を認めない。頸部リンパ節を触知しない。胸部の聴診で胸骨左縁にⅡ/Ⅵの収縮期雑音を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を触知しない。脾を左肋骨弓下に3cm触知する。
血液所見:赤血球120万、Hb 3.6g/dL、Ht 12%、網赤血球0%、白血球3,800、血小板18万、PT 72%(基準80~120)。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン3.9mg/dL、直接ビリルビン0.8 mg/dL、AST 29IU/L、ALT 14IU/L、LD 432IU/L(基準176~353)、尿酸4.2mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL、直接Coombs試験陰性。胸部エックス線写真で明らかな浸潤影はなく、心胸郭比52%である。
考えられる疾患はどれか。
a. 鉄欠乏性貧血
b. 再生不良性貧血
c. 遺伝性球状赤血球症
d. 発作性夜間血色素尿症
e. 自己免疫性溶血性貧血
パルボウイルスB19による伝染性紅斑の症例。
遺伝性球状赤血球症などの赤血球疾患を有する患者において、一過性の赤芽球癆を引き起こすことがある。
この患者では、Hb3.6、網赤血球が0%。造血障害を認めている。