問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
65歳の男性。糖尿病の教育入院中である。退院予定日の午前4時に突然の前胸部痛を自覚し、30分程度我慢したが症状が持続するため、病棟スタッフに訴えた。これまでに同様の症状を自覚したことはない。60歳時から糖尿病に対し経口糖尿病薬で治療中である。家族歴に特記すべきことはない。
意識は清明。体温 36.6 ℃。心拍数 104/分、整。血圧 160/94 mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94 %(room air)。心雑音はないが、奔馬調律を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に浮腫を認めない。直ちに記録した心電図を示す。
この患者に対する初期対応として適切でないのはどれか。
a. 酸素投与
b. 硝酸薬投与
c. 静脈路確保
d. アトロピン投与
e. 心電図モニター装着
急性冠症候群に対する対応の問題である。
アトロピンは徐脈への対応であるので当症例では必要なし。