72歳の男性。幻視を主訴に来院した。1年前から睡眠中に怒鳴ったり、布団を蹴って足をバタバタしていると妻に指摘されるようになった。このころから時々立ちくらみを自覚していた。半年前から徐々に食事や着替えの動作が遅くなった。1か月前から夜中に「部屋の中で見知らぬ人が踊っている」と訴えるようになったため、家族に付き添われて受診した。喫煙は 10 本/日、飲酒はビール 350 mL/日。
意識は清明。身長 163 cm、体重 56 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 68/分、整。血圧 158/86 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 23 点 30 点満点 、Mini-Mental State Examination<MMSE>25 点 30 点満点 。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。姿勢は前かがみで歩行は小刻みである。
尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 342 万、Hb 10.7 g/dL、Ht 32 %、白血球 8,300、血小板 14 万。血液生化学所見:総蛋白 7.4 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総 ビ リ ル ビ ン 0.9 mg/dL、AST 42 U/L、ALT 48 U/L、LD 354 U/L (基準176〜353)、γ-GTP 56 U/L (基準 8〜50)、アンモニア 32 μg/dL (基準 18〜48)、尿素窒素 17 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、血糖 112 mg/dL、Na 140 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 104 mEq/L。CRP 0.3 mg/dL。
診断に最も有用なのはどれか。
a. 血中 CK
b. 頭部 MRI
c. 脳脊髄液検査
d. 脳血流 SPECT
e. 腹部超音波検査
レビー小体型認知症(DLB)を疑い、SPECTを撮影する。
SPECTでは後頭葉の血流低下を認める。