問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
72歳の男性。右肺腺癌に対して右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清術を行った。手術時間2時間40分。出血量 80 mL。手術中のバイタルサインに異常を認めなかった。術前の全身状態は良好で、心機能に異常を認めなかった。入院前は 20本/日を 50 年間喫煙していた。呼吸機能検査は VC 3.51 L、%VC 102 %、FEV1 2.20 L、FEV1% 65 % であった。
帰室直後の体温 37.2 ℃。脈拍 64/分、整。血圧 128/68 mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 98 % (リザーバー付マスク 8L/分酸素投与下)。
血液所見:赤血球 383 万、Hb 11.2 g/dL、白血球 6,800、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、アルブミン 3.0 g/dL。胸腔ドレーンのウォーターシールから呼気のたびに気泡が見られる。排液は少量である。
術後の指示として正しいのはどれか。
a. 赤血球液-LR 輸血
b. 胸腔ドレーンの抜去
c. アルブミン製剤の投与
d. 副腎皮質ステロイドの投与
e. 呼吸リハビリテーションの処方
術後経過は良好。
a Hb 11.2 であり問題なし。
b 胸腔ドレーンから気泡がみられ、排液もまだある。まだ抜かない。
c アルブミンは問題なし。
d 胸腔ドレーン関連として、再膨張性肺水腫の予防のためにステロイドを使用することはあるが、今回は不適。
e 正解