問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
82歳の女性。発熱と意識障害のため救急車で搬入された。
現病歴: 3日前から発熱し、食事もむせるようになった。本日朝から呼びかけへの反応が乏しくなった。
既往歴: 72歳時からAlzheimer型認知症に対してドネペジルを内服中である。
生活歴: ADLは車いす移動。2年前からサービス付き高齢者向け住宅に入居している。
家族歴: 特記すべきことはない。
現症: 呼びかけにより開眼し「苦しい」と発語はあるが問いかけには答えられない。痛み刺激に対して手で払いのける。
体温 38.2 ℃。心拍数 40/分、整。血圧 140/90 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 92% (リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下)。瞳孔は高度に縮瞳し、対光反射は消失している。鼻汁、流涎および発汗がみられる。運動麻痺を認めない。腱反射の異常を認めない。両側肺底部に coarse crackles を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。下肢に筋力低下を認める。
流涎に対して最初に行うべき処置はどれか。
a. 気管挿管
b. 口腔内吸引
c. 経鼻胃管挿入
d. 輪状甲状靱帯穿刺
e. 経鼻エアウェイ挿入
この病態の診断に有用な血液検査項目はどれか。
a. Ca
b. TSH
c. 血糖
d. 血清補体値
e. コリンエステラーゼ
対応で正しいのはどれか。2つ選べ。
a. アドレナリン投与
b. ダントロレン投与
c. ドネペジルの中止
d. 硫酸アトロピン投与
e. アセトアミノフェン投与