77歳の女性。意識障害のため救急車で搬入された。介護老人保健施設に入所中である。3日前から物忘れがひどくなり、自分がどこにいるかも分からなくなっていた。施設職員からの情報では、1年前まで自宅近くの医療機関で非ホジキンリンパ腫の治療が行われ、「治癒した」と言われていたが、施設入所後は施設から遠いので通院していないとのことであった。呼びかけには反応するが、傾眠状態である。尿失禁はない。
体温 37.2 ℃。心拍数 96/分、整。血圧 96/62 mmHg。呼吸数 14/分。SpO2 96%(room air)。
血液所見:赤血球 398万、Hb 12.5 g/dL、Ht 40%、白血球 6,300、血小板 16万、PT-INR 2.1(基準 0.9~1.1)、FDP 25 μg/mL(基準10以下)。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dL、アルブミン 3.5 g/dL、総ビリルビン 3.2 mg/dL、直接ビリルビン 1.8 mg/dL、AST 3,956 U/L、ALT 2,824 U/L、LD 986 U/L(基準 120~245)、ALP 158 U/L(基準 38~113)、γ-GT 686 U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 130 U/L(基準37~160)、尿素窒素 13 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、血糖 121 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Ca 9.0 mg/dL、P 4.1 mg/dL、アンモニア 186 μg/dL(基準 18~48)。免疫血清学所見:HBs抗原陽性、HBV-DNA陽性、HCV抗体陰性。頭部単純CTで明らかな異常を認めない。非ホジキンリンパ腫治療前のB型肝炎ウイルスマーカーはHBs抗原陰性、HBs抗体陽性、HBc抗体陽性であった。
考えられる疾患はどれか。
a. 原発性硬化性胆管炎
b. 被包化膵臓壊死
c. 急性膵炎
d. 急性肝炎
e. 劇症肝炎