問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
67 歳の女性。急性心筋梗塞の治療のため入院 3 日目である。 3 日前に胸痛と気分不快が出現し、緊急入院となった。同日、急性心筋梗塞の診断で冠動脈造影が施行され、引き続き、完全閉塞を認めた左前下行枝にステント留置が行われた。本日、病棟で突然、息苦しさを訴えた。収縮期血圧は 120 mmHg 台から 60 mmHg台に低下し、SpO₂ も 80 % 前後に急速に低下したため気管挿管が行われた。気管チューブからは泡沫状のピンク色の痰の流出を認めた。心エコー検査では左室駆出率は保たれていたが、左房内に逸脱する構造物を認め、カラードプラ心エコー検査で以前に認めなかった高度の僧帽弁逆流を認めた。
急激な血行動態の増悪の原因と考えられるのはどれか。
a. 乳頭筋断裂
b. 心室中隔穿孔
c. 感染性心内膜炎
d. 左室自由壁破裂
e. 左前下行枝の再閉塞
急性心筋梗塞後に発生する合併症の一つであり、僧帽弁の機能不全と急激な心不全の症状を引き起こす。