問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
88 歳の女性。下血を主訴に救急車で搬入された。朝から痛みを伴う右下腹部膨隆に気付き、その後に下血を認めたため救急車を要請した。両側大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術の既往がある。
意識は清明。身長 152 cm、体重 42 kg。体温37.0 ℃。心拍数 104/分、整。血圧 98/56 mmHg。腹部は全体に膨隆しており、腸雑音は亢進している。右鼠径部に径 3 cm の膨隆があり、緊満し圧痛を認めた。
血液所見:赤血球 368 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 36 %、白血球 15,600、血小板 21 万。血液生化学所見:総蛋白 6.5 g/dL、アルブミン 2.9 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 28 U/L、ALT 26 U/L、LD 287 U/L(基準 120~245)、CK 162 U/L(基準30~140)、尿素窒素 44 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL。CRP 4.7 mg/dL。来院時の骨盤部単純 CTを別に示す。
対応として正しいのはどれか。
a. 浣腸
b. 緊急手術
c. 経過観察
d. イレウス管留置
e. 鼠径膨隆部の穿刺
右鼠径部の膨隆と圧痛は鼠径ヘルニアを考え、緊満を伴うことからヘルニア嵌頓していると考える。
緊急手術は、ヘルニア嵌頓を診断し治療するために必要。