問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
50 歳の男性。動悸と息切れを主訴に来院した。高校生のころ、学校健診で心雑音を指摘され、心房中隔欠損症と診断されたが、投薬治療は受けていない。半年前から動悸と息切れを自覚するようになり、当院を受診した。
脈拍 80/分、整。血圧122/78 mmHg。SpO₂ 97 %(room air)。呼吸音に異常を認めない。経胸壁心エコー検査の傍胸骨短軸像(大動脈弁レベル)を別に示す。心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧 30 mmHg、Qp/Qs 3.1 であった。
この患者の病態で正しいのはどれか。 2 つ選べ。
a. 肺高血圧を認める。
b. 心房細動を合併しやすい。
c. 肺血流量は体血流量より減少している。
d. 抜歯時に感染性心内膜炎の予防的抗菌薬投与が必要である。
e. 提示した心エコー図では右房から左房への血流が認められる。
心房中隔欠損症(ASD)の患者。
・平均肺動脈圧が30 mmHgであり、これは肺高血圧を示す(通常は25 mmHg以下)。
Qp/Qs比が3.1であることは、左右シャントが存在し、肺血流量(Qp)が体血流量(Qs)よりも多いことを示す。
a. 肺高血圧を認める。 - 肺動脈圧が30 mmHgと高値であるため、この選択肢は正しい。
b. 心房細動を合併しやすい。 - ASDの患者は、心房が過度に拡張することで心房細動を合併しやすい。