問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
60歳の男性。左下腿痛を主訴に来院した。2日前から誘因なく左下腿痛が出現した。昨日から悪寒と戦慄が出現したため受診した。既往に左下腿骨骨折があり、糖尿病による慢性腎不全で5年前から透析を受けている。
体温38.5℃。脈拍84/分、整。血圧130/70mmHg。左下腿に発赤、熱感および腫脹があり、軟部組織に握雪感を認める。
赤沈70 mm/1時間。血液所見:赤血球 294万、Hb 7.7 g/dL、白血球 25,100(桿状核好中球 7%、分葉核好中球 72%、リンパ球 6%、単球 14%。プロカルシトニン3.0 ng/mL(基準0.05未満)。CRP 31 mg/dL。左下腿エックス線写真と左下腿CTとを別に示す。
原因菌として最も考えられるのはどれか。
a. Aspergillus fumigatus
b. Brucella abortus
c. Clostridium perfringens
d. Mycobacterium tuberculosis
e. Pseudomonas aeruginosa
ガス壊疽の起因菌を問う問題。
糖尿病・腎不全による易感染性者の外傷後のガス壊疽。
腸内細菌(悪玉菌)であるウェルシュ菌(学名:C.perfringens)が起因菌となる。他の起因菌としてはレンサ球菌や大腸菌が挙げられる。
進行が早く早急な処置が求められる。抗生物質の投与及び壊死組織の除去が必要である。