78 歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
現病歴 : 2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を 30 分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。
既往歴 : 75 歳時に両側の白内障手術。
家族歴 : 父親が脳梗塞。母親が胃癌。
生活歴 : 喫煙は 65 歳まで 10 本/日を 45 年間。13 年前から禁煙している。飲酒 は機会飲酒。76 歳の妻と長女夫婦と同居している。
現症 : 意識は清明。身長 168 cm、体重 62 kg。体温 36.3 ℃。脈拍 72/分、整。 血圧 148/82 mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール 12 点(30 点満点) 、Mini-Mental State Examination<MMSE> 14 点(30 点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、 Babinski 徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
検査所見 : 尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418 万、Hb 13.2 g/dL、Ht 42 %、白血球 6,300、血小板 23 万、PT 78 % (基準 80〜120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、アルブミン 4.0 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 22 IU/L、ALT 38 IU/L、LD 328 IU/L (基準 176〜353)、ALP 254 IU/L (基準 115〜359)、γ-GTP 26 IU/L (基準 8〜50) 、アミラーゼ 95 IU/L (基準 37〜160)、CK 96 IU/L (基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿酸 6.3 mg/dL、血糖 102 mg/dL、HbA1c 5.8 % (基準 4.6〜6.2) 、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 98 mEq/L、TSH 3.8 μU/mL (基準 0.2〜4.0)、FT3 2.6 pg/mL (基準 2.5〜4.5)、FT41.0 ng/dL (基準 0.8〜2.2) 。CRP 0.4 mg/dL。脳血流 SPECTとドパミントランスポーター SPECTとを別に示す。
この患者にみられるのはどれか。2つ選べ。
a. 妄想
b. 作話
c. 相貌失認
d. むずむず脚症候群
e. レム(REM)睡眠行動障害
Lewy小体型認知症の症例。
最も考えられるのはどれか。
a. 正常圧水頭症
b. 脳血管性認知症
c. 前頭側頭型認知症
d. Lewy 小体型認知症
e. Alzheimer 型認知症
この患者に適切な薬剤はどれか。
a. ドパミン
b. ドネペジル
c. 炭酸リチウム
d. ハロペリドール
e. レボメプロマジン
ドネペジルは抗認知症薬である。