16歳の女子。胸部刺創のため同級生らに抱きかかえられて来院した。

現病歴: 突然見ず知らずの男性に左前胸部をサバイバルナイフにて刺された。受傷後すぐに近くにいた同級生らに助け出され、一般救急外来に運ばれてきた。同級生らの話では、病院の近くの公園で、青年男性の無差別な暴力行為が発生しており、他にも数人が負傷しているとのことである。

既往歴: 特記すべきことはない。

生活歴: 高校生。

家族歴: 両親、兄弟とも健康。

現症: 意識は清明。身長150cm推定、体重40kg推定。体温35.5 ℃。脈拍120/分、整。血圧80mmHg(触診)。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。ショック状態と判断し、直ちに医療従事者を集めた。蘇生処置室に搬入し、酸素投与を開始の上、静脈路を確保して輸液を開始した。左第5肋間鎖骨中線よりやや内側に長さ3cm程度の刺創を認めるが、体表への出血は止まっており、衣服には径数cm程度の血液が付着している。


この患者のショックの原因を鑑別するのに有用な身体所見はどれか。

a. 皮膚湿潤

b. 瞳孔散大

c. 意識レベル

d. 口腔内乾燥

e. 頸静脈怒張

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吸気時に大腿動脈の拍動が減弱し、胸部の聴診で心音が減弱している。創部より呼吸に伴う空気の流入出が疑われ、呼吸音は左側でわずかに減弱している。触診で皮下気腫は認めない。

最も優先すべきなのはどれか。

a. 超音波検査

b. 胸部造影CT

c. 12誘導心電図

d. 創部直視下検索

e. 血液生化学検査

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この患者を救命救急センターに転送することにした。搬送時間として少なくとも30 分は見込まれる。左側の呼吸音はさらに減弱し、ポータブル撮影による胸部エックス線写真でも明らかな気胸を認める。

転送前に行う処置として必要性が低いのはどれか。

a. 創閉鎖

b. 心囊穿刺

c. 中心静脈路確保

d. 胸腔ドレナージ

e. 尿道カテーテル留置

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)