71歳の女性。体重減少、易疲労感および腰背部痛を主訴に来院した。食欲が低下し、6か月で体重が7kg減少した。約1か月前から体調不良を自覚していたが家事はこなしていた。毎日30分散歩をしていたが、疲労感が強く休むことが多くなった。最近になって腰背部痛も出現してきたが、なんとか我慢できている。

身長 156 cm、体重 42 kg。体温 36.8 ℃。脈拍80/分、整。血圧 136/80 mmHg。呼吸数 16/分。腹部は平坦、軟で、上腹部に軽度圧痛を認める。下腿に軽度の浮腫を認める。徒手筋力テストで下肢の筋力は である。片足立ちは3秒以上保持できず、不安定である。四肢に筋肉痛、関節痛および異常感覚はない。腱反射と振動覚は正常である。

血液所見:赤血球 392万、Hb 10.8 g/dL、Ht 32%、白血球 7,200、血小板 30万。血液生化学所見:総蛋白 5.4 g/dL、アルブミン 2.6 g/dL、CK 62 IU/L(基準 30~140)、血糖 118 mg/dL。CRP 3.6 mg/dL。腹部造影CTで膵体部に 6 cmほどの腫瘍性病変とそれより尾部の膵管の拡張を認め、腹水が貯留していた。入院後の腹水穿刺で、腹水に淡黄色の混濁があり、細胞診でクラスⅤの腺癌であった。

この患者に当てはまるのはどれか。

a. 悪液質

b. 多発性筋炎

c. 廃用症候群

d. 慢性疲労症候群

e. 多発ニューロパチー

問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)