問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
50歳の女性。ぼーっとした様子になったことを心配した家族に連れられて来院した。もともと明るい性格で、家事やパートタイムの仕事を活発にこなしていたが、1か月前に長男が大学受験に失敗した頃から「ゆううつだ、元気が出ない」と訴え始めた。家族によると、2週前に自宅近くの診療所を受診し抗うつ薬と睡眠薬とを処方されたが改善せず、数日前からぼーっとした様子になったという。家事の手際が普段よりはるかに悪く、時間がかかっている。5年前に人間ドックで慢性甲状腺炎を指摘されていた。
診察時、抑うつ気分、意欲の低下および注意機能の低下がみられた。頭部MRIで異常を認めない。脳波検査では基礎波として広汎な8~9Hzのα波がみられた。
この患者にみられる精神障害として最も考えられるのはどれか。
a. 気分障害
b. 適応障害
c. 解離性障害
d. 症状性精神障害
e. Alzheimer型認知症
慢性甲状腺炎をベースとした、抑うつ症状である。