20歳の女性。発熱、関節痛および筋肉痛を主訴に来院した。1か月前に咽頭痛と頸部のリンパ節腫脹が出現した。自宅近くの診療所で総合感冒薬を処方されたがその後も、発熱、関節痛および筋肉痛が続くため受診した。体温は毎日39~40 ℃に上昇し、その後解熱し平熱になる。発熱時には上腕に紅色の皮疹が出現し、解熱すると消退する。
来院時、体温38.5℃。上腕部に淡い紅斑を認める。咽頭の発赤を認める。両側の頸部に圧痛を伴う径1~2cmのリンパ節を数個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。
尿所見:蛋白(-)、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球402万、Hb 10.5g/dL、白血球16,500(桿状核好中球20%、分葉核好中球63%、好酸球3%、好塩基球0%、単球2%、リンパ球12%)、血小板28万。血液生化学所見:IgG 1,760mg/dL(基準960~1,960)、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 128IU/L、ALT 152IU/L、γ-GTP 82IU/L(基準8~50)、フェリチン3,100ng/mL(基準20~120)。可溶性IL-2受容体512U/mL(基準550以下)。免疫血清学所見:CRP11mg/dL、リウマトイド因子(RF)陰性、抗核抗体陰性。CH50 52U/mL(基準30~40)。血液培養は2セット採取し、ともに陰性である。胸部エックス線写真で異常を認めない。 骨髄血塗抹染色標本で異常を認めない。
この患者で最も考えられる疾患はどれか。
a. 成人Still病
b. IgG4関連疾患
c. 顕微鏡的多発血管炎
d. リウマチ性多発筋痛症
e. 全身性エリテマトーデス(SLE)
a 正解
b IgGが正常であるため考えにくい
c 血管炎の症状に乏しい。
d 発疹は多くの場合認めない。
e 抗核抗体陽性となると思われる。