問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
78 歳の男性。呼吸困難を主訴に夜間救急外来を受診した。呼吸困難のために病歴は十分に得ることができない。家族の話によると、5年前から自宅近くの診療所で在宅酸素療法が導入されており、1L/分の酸素を吸入している。来院時は、酸素ボンベを持参している。
意識は清明。体温 36.8 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 130/80 mmHg。呼吸数 20/分。体格はやせ型。吸気時に肥大した胸鎖乳突筋が特に目立ち、口すぼめ呼吸をし、喘鳴が著明である。動脈血ガス分析(鼻カニューラ 1L/分 酸素投与下):pH 7.35、PaCO2 55 Torr、PaO2 60 Torr、HCO3- 30 mEq/L。
酸素療法による適切な初期対応はどれか。
a. リザーバー付マスク 10 L/分
b. リザーバー付マスク 5L/分
c. 鼻カニューラ 5L/分
d. 鼻カニューラ 1.5 L/分
e. 鼻カニューラ 0.5 L/分
1L/分の在宅酸素療法、口すぼめ呼吸からCOPDの既往が考えられる。
a.b.c:COPD患者に高濃度酸素は禁忌。CO2ナルコーシスとなる可能性があるためです。
d: 正解。
e: 酸素化が悪いのに酸素濃度を下げるのは駄目です。