25歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。5日前から 38 ℃前後の発熱、咽頭痛、上腹部痛および食欲低下があり、3日前に自宅近くの診療所で感冒に伴う胃腸炎と診断され総合感冒薬と整腸薬とを処方されたが症状は改善しなかった。昨夜から前胸部不快感が出現し、本日、呼吸困難が出現したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。妊娠歴はない。最終月経は2週間前。
意識は清明だが表情は苦悶様。体温 36.8 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 72/48 mmHg。呼吸数 36/分。SpO2 82 %(room air)。四肢末梢の冷感を認める。口唇にチアノーゼを認める。頸静脈の怒張を認める。心音にⅢ音とⅣ音とを聴取する。呼吸音は両側で wheezes と coarse crackles とを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
血液所見:赤血球 482 万、Hb 14.1 g/dL、Ht 41 %、白血球 14,200、血小板 17 万。血液生化学所見:総蛋白 6.4 g/dL、アルブミン 3.8 g/dL、総ビリルビン 1.1 mg/dL、AST 519 U/L、ALT 366 U/L、LD 983 U/L(基準 176〜353)、CK 222 U/L (基準 30〜140)、 尿素窒素 23 mg/dL、クレアチニン 1.0 mg/dL、血糖 199 mg/dL、Na 128 mEq/L、 K 4.4 mEq/L、Cl 99 mEq/L。CRP 2.1 mg/dL。心筋トロポニン T 陽性。動脈血ガス分析(room air):pH 7.32、PaCO2 20 Torr、PaO2 55 Torr、HCO3 10 mEq/L。 仰臥位のポータブル胸部エックス線写真、心電図及び心エコー図を示す。
最も可能性の高い疾患はどれか。
a. 肥大型心筋症
b. 急性心筋梗塞
c. Brugada症候群
d. 感染性心内膜炎
e. ウイルス性心筋炎
若年女性の初発の心不全。先行感染後。
心臓超音波では左室収縮が低下している。
急性心筋炎を考える。