問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
1歳の男児。発熱と頸部の腫脹が出現したため、両親に連れられて来院した。5日前から 39 ℃台の発熱が続き、今朝から頸部の腫脹に気付いたため来院した。
体温 39.2 ℃。心拍数 144/分、整。呼吸数 40/分。眼球結膜に充血を認める。両側の頸部に複数のリンパ節を触知する。前胸部、手掌および足底に紅斑を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を 2cm、左肋骨弓下に脾を 1cm 触知する。
血液所見:赤血球 394 万、Hb 10.5 g/dL、Ht 33 %、白血球 17,400 (桿状核好中球 8%、分葉核好中球 71 %、好酸球 2%、好塩基球 0%、単球 4%、リンパ球 15 %)、血小板 43 万。血液生化学所見:総蛋白 6.2 g/dL、AST 35 U/L、ALT 23 U/L、LD 450 U/L (基準 202〜437)。CRP 6.7 mg/dL。口唇の写真を別に示す。
考えられるのはどれか。
a. 川崎病
b. 悪性リンパ腫
c. 伝染性単核球症
d. 結核性リンパ節炎
e. Langerhans 細胞性組織球症
川崎病の症例である。
【主要症状】
1. 発熱
2. 両側眼球結膜の充血
3. 口唇,口腔所見 : 口唇の紅潮,いちご舌,口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
4. 発疹(BCG 接種痕の発赤を含む)
5. 四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫,手掌足底または指趾先端の紅斑(回復期)指先からの膜様落屑
6. 急性期における非化膿性頚部リンパ節腫脹
※6つの主要症状のうち、経過中に5症状以上を呈する場合は、川崎病と診断する。