問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
70歳の女性。胸の重苦しさと息苦しさを主訴に来院した。1週間前から、朝の犬の散歩中に胸の重苦しさと息苦しさを自覚するようになったが、2〜3分の休息で症状が消失していた。本日、午前9時から同症状が出現し持続するため、午前10時に家族とともに受診した。65歳時に高血圧症と脂質異常症を指摘されたが、定期的な通院は行っていない。家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。
身長 156 cm、体重 60 kg。体温 36.2 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 116/78 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 99 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。
胸部エックス線写真に異常を認めない。12 誘導心電図で V2、V3、V4 でST低下を認める。心エコー検査で左室前壁の壁運動低下を認めるが、心囊液の貯留を認めない。
最も可能性が高いのはどれか。
a. 急性心膜炎
b. 急性冠症候群
c. たこつぼ心筋症
d. ウイルス性心筋炎
e. 急性肺血栓塞栓症
前下行枝の狭窄や閉塞と思われる。早急に冠動脈造影検査が必要。