67歳の男性。心停止の状態で救急車で搬入された。現病歴:今朝6時頃、妻が寝室に起こしに行った際には返答があったが、1時間経っても起きて来なかった。再度呼びに行くと目を閉じたままで反応がないため、午前7時に救急車を要請した。5分後に救急隊が到着し、心停止と判断した。かかりつけ医には連絡せず、心肺蘇生を行いながら救命救急センターに搬送した。
救命救急センターで pulseless electrical activity<PEA>と判断し、心肺蘇生を継続した。研修医が胸骨圧迫を継続する傍ら、指導医が薬物投与のため静脈路の確保を行うこととした。
静脈路確保で第一選択となる部位はどこか。
a. 大腿静脈
b. 内頸静脈
c. 鎖骨下静脈
d. 大伏在静脈
e. 肘正中皮静脈
まずは末梢ルート確保
既往歴:20年前から糖尿病、高血圧症と診断され、内服治療を続けていた。
生活歴:喫煙歴は 65 歳まで 20 本/日を 45 年間。飲酒は焼酎2 合/日を週3日。搬入時に行った静脈採血の結果は以下のとおりであった。
検査所見:血液所見:赤血球 322 万、Hb 10.1 g/dL、Ht 31 %、白血球 8,800、血小板 11 万。血液生化学所見:AST 92 U/L、ALT 78 U/L、尿素窒素 82 mg/dL、クレアチニン 9.8 mg/dL、血糖 228 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 9.8 mEq/L、Cl 112 mEq/L、Ca 8.6 mg/dL。CRP 2.3 mg/dL。
院内救急コールで駆け付けた内科および外科病棟当直医が、救命救急センターの研修医、指導医とともに心肺蘇生を継続した。その後も心拍は再開せず、患者の死亡が確認された。かかりつけ医に連絡をとると、この患者は糖尿病腎症による慢性腎不全のため、近々人工透析の導入予定で、最終受診は1週間前であった。
死亡診断書を交付できないのはどれか。
a. 死亡確認を行った内科病棟当直医
b. 救命処置を補助した外科病棟当直医
c. 電話で死亡報告を受けたかかりつけ医
d. 救命処置を行った救命救急センターの指導医
e. 救命処置を行った救命救急センターの研修医
医師法20条「医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りではない」
この症例は腎不全症→高カリウム→致死的不整脈 でしょうか