79歳の女性。上腕から背中の痛みとこわばりを主訴に来院した。

現病歴:2週間前に、両側上腕から背中にかけての痛みとこわばりが出現した。1週間前から右側の拍動性の頭痛を自覚している。また、夕方から夜にかけて 38℃台の発熱があった。起床時に背中のこわばりがひどく、寝返りができないため受診した。2週間で体重が 1.5 kg 減少した。悪心、嘔吐はなく、四肢のしびれや脱力はない。

既往歴:高血圧症で内服治療中。片頭痛の既往はない。

生活歴:独居生活。喫煙歴と飲酒歴はない。

現症:意識は清明。体温 38.9 ℃。脈拍 104/分、整。血圧 142/80 mmHg。呼吸数 14/分。眼瞼結膜は貧血様である。右側頭部に索状の腫脹と圧痛を認めるが、皮疹は認めない。項部硬直はなく、頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛や腫瘤を認めない。ばち指、Osler結節および下腿浮腫を認めない。両側の上腕に把握痛を認める。関節に腫脹と圧痛を認めない。


まず確認すべきなのはどれか。

a. 視力低下

b. 歯科治療歴

c. 気分の落ち込み

d. 頭痛薬の濫用歴

e. 片頭痛の家族歴

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検査所見:赤沈 102 mm/ 時間。血液所見:赤血球 301 万、Hb 9.6 g/dL、Ht 29 %、白血球 9,800、血小板 47 万。血液生化学所見:総蛋白 5.9 g/dL、AST 29 U/L、ALT 28 U/L、LD 321 U/L(基準 176〜353)、CK 38 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 18 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL、血糖 102 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 4.9 mEq/L、Cl 100 mEq/L。免疫血清学的所見:CRP 8.6 mg/dL、リウマトイド因子<RF>陰性、抗核抗体陰性、CH50 52 U/mL(基準 30〜40)。胸部エックス線写真で異常を認めない。

精査の結果、副腎皮質ステロイドの内服加療を行うこととした。治療に伴い注意すべき検査項目はどれか。

a. 血糖

b. 血小板

c. 総蛋白

d. 血清補体価

e. クレアチニン

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)