問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
6歳の男児。落ち着きのなさを心配した父親に連れられて来院した。在胎 38 週、出生体重 3,422 g で仮死なく出生した。乳幼児期の発達には明らかな遅れを指摘されたことはない。現在幼稚園の年長組であるが、集団での移動中に興味があるものに気を取られて飛び出してしまうことが時々ある。順番待ちが苦手で、順番を守れずに同じクラスの子どもとけんかになることがある。また、先生の話をじっと聞いていることができず、勝手に部屋を出ていくこともある。怒られると感情を爆発させ、手を出してしまうこともある。しかし、落ち着いているときは会話も上手にでき、自分の名前をひらがなで書くことができる。人懐っこく、集団での遊びが好きである。神経診察を含む身体所見に明らかな異常を認めない。
父親への説明として適切なのはどれか。
a. 「危険を防ぐため行動を制限しましょう」
b. 「家庭でもっと厳しくしつけをしましょう」
c. 「まず症状を抑えるお薬を内服しましょう」
d. 「特に問題はないので通院の必要はありません」
e. 「完璧を求めすぎず自信を失わせないよう配慮しましょう」
注意欠如多動性障害〈ADHD〉の症例。