72歳の男性。腰背部痛を主訴に来院した。3年前に多発性骨髄腫と診断され、3種類の異なる抗癌化学療法を施行されてきたが、現在まで一度も寛解に至っていない。2か月前から腰痛、背部痛および肋骨痛が出現し NSAIDs が投与されたが、疼痛は増悪しており、最近は疼痛のため室内移動も困難であり1日中ベッドに横になっていることが多い。数日前から症状が増悪し、食欲低下および嘔吐をきたすようになった。

意識は清明。身長 172 cm、体重 54 kg。体温 37.2 ℃。脈拍 84/分、整。血圧 102/68 mmHg。パフォーマンスステイタス<PS>4。眼瞼結膜は貧血様である。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音を聴取する。四肢に皮下出血を認めない。

血液所見:赤血球 277 万、Hb 6.1 g/dL、Ht 26 %、白血球 3,300、血小板 4万。血液生化学所見:総蛋白 11.5 g/dL、アルブミン 2.9 g/dL、IgG 8,450 mg/dL (基準 960〜1,960)、IgA 26 mg/dL (基準 110〜410)、IgM 18 mg/dL (基準 65〜350)、総ビリルビン 0.6 mg/dL、AST 23 U/L、ALT 17 U/L、LD 325 U/L (基準 176〜353)、ALP 420 U/L (基準 115〜359)、尿素窒素 30 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL、尿酸 9.2 mg/dL、Na 145 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 101 mEq/L、Ca 14.0 mg/dL。全身の骨エックス線写真で両側大腿骨に広範な骨融解像と第4、第5腰椎に圧迫骨折を認める。

現時点で考慮すべき治療はどれか。

a. 血小板輸血

b. 自家末梢血幹細胞移植

c. アルブミン製剤の投与

d. ビスホスホネート製剤の投与

e. 自立歩行を目的としたリハビリテーション

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)