問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
90歳の男性。散歩の途中で段差につまずいて転倒し歩行不能となり、救急車で搬入された。転倒前の歩行能力は自立し、歩行補助具は不要であった。
意識は清明。体温 36.9 ℃。心拍数 92/分、整。血圧 120/70 mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭部や四肢に創傷はない。右股関節に疼痛があり、右下肢を動かすことができない。麻痺はない。両側股関節正面エックス線写真を別に示す。
この段階で最も適切な対応はどれか。
a. 介護施設への転送
b. 可及的早期の手術
c. 車椅子での生活自立訓練
d. 約1か月の局所牽引療法
e. ギプス包帯による右股関節固定
大腿骨頸部骨折患者の治療方針に関しての問題。
高齢であるが、骨折前のADLは保たれている。そのため、保存的治療ではなく手術を行うべきと思われる。