問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
1歳の男児。発熱と皮疹を主訴に母親に連れられて来院した。4日前から38〜39 ℃の発熱が続き、今朝、母親が皮疹に気付いたという。
体温 39.3 ℃。脈拍 140/分、整。受診時の患児の背部の写真を別に示す。両側眼球結膜に充血を認める。口唇に発赤を認める。両側頸部に径 2cm のリンパ節を数個ずつ触知する。四肢末端に紅斑と浮腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。
血液所見:赤血球 410 万、Hb 11.7 g/dL、Ht 36 %、白血球 13,600(桿状核好中球 6 %、分葉核好中球 61 %、単球 4 %、リンパ球 29 %、血小板 41 万、フィブリノゲン860 mg/dL(基準 186〜355)。血液生化学所見:総蛋白 6.0 g/dL、アルブミン 3.0 g/dL、AST 240 U/L、ALT 195 U/L。CRP 4.2 mg/dL。心エコー検査で異常所見を認めない。入院の上、標準的治療を行うこととした。
治療効果判定に使用する所見はどれか。
a. 発熱
b. 体幹の皮疹
c. 眼球結膜充血
d. 頸部リンパ節腫脹
e. 四肢末端の紅斑・浮腫
川崎病の症例である。
【主要症状】
1. 発熱
2. 両側眼球結膜の充血
3. 口唇,口腔所見 : 口唇の紅潮,いちご舌,口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
4. 発疹(BCG 接種痕の発赤を含む)
5. 四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫,手掌足底または指趾先端の紅斑(回復期)指先からの膜様落屑
6. 急性期における非化膿性頚部リンパ節腫脹
※6つの主要症状のうち、経過中に5症状以上を呈する場合は、川崎病と診断する。