76歳の女性。発熱と心窩部痛を主訴に来院した。半年前に膜性腎症によるネフローゼ症候群を発症し、深部静脈血栓症を伴っていたため、副腎皮質ステロイド薬と抗凝固薬 (ワルファリン) の内服を継続していた。昨日から 38 ℃台の発熱と心窩部痛が出現し、食欲も低下したため受診した。

意識は清明。身長 154 cm、体重 42 kg。体温 38.1 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 112/66 mmHg。呼吸数 22/分。SpO₂ 97% (room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で心窩部から右季肋部にかけて圧痛を認める。

血液所見:赤血球 369万、Hb 11.1 g/dL、Ht 36%、白血球 11,200、血小板 26万、PT-INR 1.8 (基準 0.91.1)。血液生化学所見:総ビリルビン 2.4 mg/dL、直接ビリルビン 1.8 mg/dL、AST 96 U/L、ALT 121 U/L、LD 298 U/L (基準 120245)、ALP 352 U/L (基準 115~359)、γ-GT 132 U/L (基準 850)、尿素窒素 38 mg/dL、クレアチニン 1.8 mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.6 mEq/L、Cl 107 mEq/L。CRP 8.8 mg/dL。腹部超音波検査で胆嚢の腫大と壁肥厚を認め、入院絶食下で末梢輸液および広域セフェム系抗菌薬の点滴静注が開始された。治療開始後5日目に症状は軽快し、1週後の血液検査でAST、ALT、CRPは低下していたが、PT-INRが4.2と上昇していた。

この患者でPT-INRの上昇に影響したのはどれか。2つ選べ。

a. 腎機能障害

b. 入院後の絶食

c. 治療前のCRP値

d. 広域セフェム系抗菌薬

e. 副腎皮質ステロイド薬

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)