60 歳の男性。嘔吐を主訴に来院した。

現病歴 : 1 年前に胃癌で胃全摘術を受け、その後外来で約 8 か月間抗癌化学療法を継続した。2 か月前に腫瘍マーカーの上昇と肝・肺転移を指摘され、再度抗癌化学療法を受けたが、治療効果が認められず中止となった。その際に本人と家族に数か月の予後と告知され、自宅に近い当院での外来通院を希望し、転院となった。特に症状なく経過していたが、1 か月前から時々腹痛を自覚し、オピオイドの定期内服とレスキューが処方されていた。1 週間前から悪心を認め、今朝になり嘔吐したため受診した。

既往歴 :特記すべきことはない。

生活歴 :妻と 2 人暮らし。2 人の子供はいずれも県外に在住している。喫煙は20 歳から 59 歳まで 20 本/日。飲酒は機会飲酒。

家族歴 :父が胃癌のため 70 歳で死亡。

現症 :意識は清明。身長 175 cm、体重 56 kg。体温 36.4 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 110/70 mmHg。呼吸数 26/分。SpO₂ 96 %(room air)。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆しているが軟で、腹部全体に圧痛があり、金属音を聴取する。心窩部に肝を触知する。両下肢に軽度の浮腫を認める。神経診察で異常を認めない。

検査所見 :血液所見:赤血球 364 万、Hb 10.3 g/dL、Ht 32 %、白血球 7,400、血小板 18 万。血液生化学所見:総蛋白 5.9 g/dL、アルブミン 2.4 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 152 U/L、ALT 66 U/L、LD 387 U/L(基準 120~245)、ALP 189 U/L(基準 38~113)、γ-GT 62 U/L(基準 8 ~50)、CK 42 U/L(基準 30~140)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL、血糖 80 mg/dL、総コレステロール 190 mg/dL、Na 143 mEq/L、K 3.5 mEq/L、Cl 92 mEq/L。Ca 10.1 mg/dL。CRP 4.5 mg/dL。胸部エックス線写真で両肺に多発小結節影を認める。


この患者の嘔吐の原因として考慮すべきもので誤っているのはどれか。

a. 肺転移

b. 心理的要因

c. 高カルシウム血症

d. オピオイドの副作用

e. 癌性腹膜炎による消化管閉塞

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患者は主治医に「先生、何も悪いことはしていないのにどうして私ががんにならなければならないのでしょう・・・」と訴えた。

このときの医師の応答として適切なのはどれか。

a. 話題を逸らす。

b. そう考える原因を問い詰める。

c. 日本人の胃癌の罹患率を伝える。

d. 視線を合わせて、次の言葉を待つ。

e. その考えの善し悪しの評価を伝える。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)