75 歳の男性。労作時の呼吸困難を主訴に来院した。
現病歴 :数年前から労作時の息切れがあったが、約 1 年前から階段や坂道は途中で休まないと昇れなくなった。 1 週間前から呼吸困難と膿性痰が出現し、改善しないため受診した。
既往歴:60 歳時より高血圧症。
生活歴:喫煙は 25 歳から現在まで 40 本/日を 50 年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母が気管支喘息。
現症:意識は清明。身長 163 cm、体重 65 kg。体温 36.6 ℃。脈拍 92/分、整。血圧 142/56 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 90 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。胸鎖乳突筋の肥大を認める。心音に異常を認めない。呼吸音は喘鳴が聴取され、全体的に呼吸音が減弱している。
検査所見:血液所見:赤血球 460 万、Hb 13.7 g/dL、Ht 42 %、白血球 9,400(好中球 59.7 %、好酸球 12.3 %、好塩基球 0.4 %、単球 6.7 %、リンパ球 20.9 %)、血小板 22 万。 血液生化学所見:総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 24 U/L、ALT 16 U/L、LD 220 U/L(基準 120~245)、 尿素窒素 12 mg/dL、 クレアチニン 0.6 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 4.4 mEq/L、Cl 97 mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.41、PaCO2 54 Torr、PaO2 56 Torr、HCO3 - 33.1 mEq/L。
この患者で正しいのはどれか。
a. Ⅱ型呼吸不全
b. 呼気時間短縮
c. 吸気性呼吸困難
d. PaO2/FIO2<200
e. 呼吸性アルカローシス
対応で誤っているのはどれか。
a. 酸素投与
b. 抗菌薬投与
c. 副腎皮質ステロイド投与
d. 短時間作用性 β2 刺激薬吸入
e. ヒスタミン H1 受容体拮抗薬投与
その後、SpO2 86 % に低下したため、ストレッチャーに移動し、マスク 5 L/分の酸素投与を行った。喘鳴はやや改善したが、呼吸困難は続いていた。
意識レベルはJCSⅡ-10。心拍数 130/分、整。血圧 152/82 mmHg。呼吸数 28/分。動脈血ガス分析(マスク 5 L/分 酸素投与下):pH 7.30、PaCO2 86 Torr、PaO2 92 Torr、HCO3- 36 mEq/L。
適切な治療法はどれか。
a. 気管切開
b. 気管挿管
c. 高流量酸素
d. 高気圧酸素治療
e. 非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉