56 歳の男性。右季肋部痛を主訴に来院した。

現病歴:以前から右背部痛を自覚していたが、 1 か月前から痛みの頻度が増加し、就寝初期の右季肋部痛も伴うようになったため自宅近くの医院を受診した。腹部超音波検査で胆囊結石を認め、手術目的に紹介受診した。

既往歴:1 年前から高血圧症と 2 型糖尿病で降圧薬と経口糖尿病薬を内服している。

生活歴:喫煙は 20 本/日を 35 年間。飲酒は焼酎 1 合/日を 10 年間。

家族歴:母が 2 型糖尿病で治療中である。

現症:意識は清明。身長 171 cm、体重 70 kg。体温 36.1 ℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/96 mmHg。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、右季肋部に圧痛を認める。

検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 580 万、Hb 15.9 g/dL、Ht 51 %、白血球 8,400(好中球 70 %、好酸球 1 %、好塩基球 1 %、単球 4 %、リンパ球 24 %)、血小板 27 万、PT-INR 0.95(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白 7.6 g/dL、アルブミン 5.0 g/dL、総ビリルビン 0.8 mg/dL、AST 13 U/L、ALT 18 U/L、LD 120 U/L(基準 120~245)、ALP 55 U/L(基準 38~113)、γ-GT 16 U/L(基準 8 ~50)、CK 50 U/L(基準 30~140)、尿素窒素 10 mg/dL、クレアチニン 0.8 mg/dL、 尿酸 6.5 mg/dL、 血糖 95 mg/dL、HbA1c 6.8 %(基準 4.6~6.2)、トリグリセリド 207 mg/dL、HDL コレステロール 242 mg/dL、LDLコレステロール 162 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 102 mEq/L、Ca 9.3 mg/dL。CRP 0.1 mg/dL。心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比 46 %。上部消化管内視鏡検査で異常所見を認めない。腹部超音波検査、腹部単純 CT 及び磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉で胆囊内に径 5 ~ 8 mm の結石を数個認めたが、他の異常所見を認めない。

胆囊結石症と診断し、待期的に腹腔鏡下胆囊摘出術を予定することとした。


この患者に胆囊摘出術を勧める根拠となるのはどれか。

a. 年齢

b. 性別

c. 主訴

d. 既往歴

e. 飲酒歴

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周術期管理について誤っているのはどれか。

a. 前日、夕食を摂取する。

b. 当日術前、降圧薬を内服する。

c. 当日術前、経口糖尿病薬を内服する。

d. 翌日、食事を開始する。

e. 翌日、経口鎮痛薬を内服する。

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腹腔鏡下胆囊摘出時に胆囊底部を挙上すると脈管損傷に注意を要する領域(Calot三角)が出現する。解剖図を別に示す。

この領域の境界はどれか。3つ選べ。

a. A

b. B

c. C

d. D

e. E

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)