20 歳の男性。胸部不快感と呼吸困難を主訴に来院した。これまでに何度か胸部不快感を自覚したが、医療機関を受診していなかった。昨日から呼吸困難が出現し、持続しているため受診した。既往歴に特記すべきことはない。家族歴は父親が20 歳台で脳静脈洞血栓症を発症。
意識は清明。体温 36.2 ℃。脈拍 96/分、整。血圧 104/68 mmHg。呼吸数 24/分。SpO₂ 94 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。下肢に軽度の浮腫を認める。
血液所見:赤血球 450 万、Hb 14.5 g/dL、Ht 42 %、白血球 6,200(好中球 62 %、好酸球 1 %、単球 5 %、リンパ球 32 %)、血小板 22 万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉30 秒(基準対照 32.2)、血漿フィブリノゲン 288 mg/dL(基準 186~355)、D ダイマー 10 μg/mL(基準 1.0以 下)。血液生化学所見:総ビリルビン 1.1 mg/dL、LD 208 U/L(基準 124~222)、尿素窒素 22 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL。CRP 0.3 mg/dL。胸部エックス線写真で異常を認めない。
直ちに行う検査で適切なのはどれか。
a. 気管支鏡検査
b. 呼吸機能検査
c. 頸部超音波検査
d. 胸部~下肢造影 CT
e. 足関節上腕血圧比〈ABI〉
胸部不快感と呼吸困難、家族歴に血栓症があり、Dダイマーが著しく上昇しているため、肺塞栓症が疑われる。
胸部~下肢造影CTは、肺動脈の血栓や下肢の深部静脈血栓症(DVT)を確認するのに最適な検査である。