問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
a. 骨密度の低下
b. 血清 ALP の低値
c. 代謝性アルカローシス
d. 活性型ビタミン D の低下
e. 尿細管リン再吸収率の上昇
この患者の所見で正しいのは「a. 骨密度の低下」である。
副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される病態であり、その結果、骨からカルシウムが大量に放出される。この過程で骨のカルシウムが減少し、骨密度が低下することが多い。さらに、血液検査で見られる高カルシウム血症と低リン血症も副甲状腺機能亢進症の特徴である。高カルシウム血症は、尿中へのカルシウム排泄が増加することで尿路結石のリスクを高める。また、過剰なPTHは腎臓におけるリンの再吸収を抑制し、血中リン濃度を低下させる。この患者のケースでは、頸部超音波検査で甲状腺右葉下極に腫瘤が検出され、99mTc-MIBI副甲状腺シンチグラムで異常が確認されたことから、過剰なPTH分泌の原因となる副甲状腺腫瘍の存在が示唆される。したがって、この患者の骨密度の低下は副甲状腺機能亢進症によるものである。