問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
急性呼吸窮迫症候群〈ARDS〉の病態で正しいのはどれか。
a. 気道抵抗低下
b. 肺血管抵抗低下
c. 肺内シャント減少
d. 肺コンプライアンス増加
e. 肺サーファクタント減少
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の病態で正しいのは **e. 肺サーファクタント減少** である。
ARDSの病態は、重度の肺損傷に伴い肺のガス交換機能が著しく障害されるものであり、以下の特徴がある:
- **e. 肺サーファクタント減少** は正しい。ARDSでは肺損傷によって肺サーファクタントが減少し、肺胞が正常に膨らむ能力が低下することで、ガス交換が困難になる。
他の選択肢については以下のように説明できる:
- **a. 気道抵抗低下** は誤り。ARDSでは気道抵抗はむしろ増加することが多い。
- **b. 肺血管抵抗低下** は誤り。ARDSでは肺血管抵抗は増加しやすく、これにより肺高血圧を引き起こすことがある。
- **c. 肺内シャント減少** は誤り。ARDSではガス交換がうまく行われない領域が増え、肺内シャントが増加する。
- **d. 肺コンプライアンス増加** は誤り。ARDSでは肺組織が硬くなり、肺コンプライアンス(肺の柔軟性)は低下する。
したがって、正解は **e. 肺サーファクタント減少** である。