問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
重症複合免疫不全症で正しいのはどれか。
a. 全身のリンパ節が腫大する。
b. ウィルスへの免疫は保たれる。
c. 顕性遺伝(優性遺伝)の形式をとる。
d. 血清免疫グロブリンは正常範囲である。
e. 生後間もなくから体重増加は不良となる。
重症複合免疫不全症(SCID)で正しいのは **e. 生後間もなくから体重増加は不良となる** である。
重症複合免疫不全症(SCID)は、T細胞およびB細胞の機能が重篤に障害される遺伝性の免疫不全症で、以下の特徴がある:
- **a. 全身のリンパ節が腫大する** は誤りである。SCIDでは、リンパ節は発達不良であり、腫大することはほとんどない。
- **b. ウィルスへの免疫は保たれる** は誤りである。SCIDではウイルスに対する免疫も重篤に障害されているため、ウイルス感染に対する抵抗力も著しく低下している。
- **c. 顕性遺伝(優性遺伝)の形式をとる** は誤りである。SCIDは通常、**劣性遺伝**の形式をとることが多い(X連鎖劣性遺伝が代表的である)。
- **d. 血清免疫グロブリンは正常範囲である** は誤りである。SCIDではB細胞機能が障害されるため、免疫グロブリンも低下する。
- **e. 生後間もなくから体重増加は不良となる** は正しい。SCIDの赤ちゃんは生後早期から感染症にかかりやすく、体重増加不良がみられることが多い。
したがって、正解は **e** である。