問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
眼窩吹き抜け骨折で起こりにくいのはどれか。
a. 複 視
b. 鼻出血
c. 嗅覚障害
d. 眼球上転障害
e. 頰部知覚障害
眼窩吹き抜け骨折で起こりにくいのは **c. 嗅覚障害** である。
眼窩吹き抜け骨折は、眼窩の骨が破裂して周囲の構造物が損傷する外傷であり、以下の症状が一般的に見られる:
- **a. 複視** はよく見られる症状である。眼窩周囲の筋肉や神経が損傷し、眼球の動きが制限されることで複視が生じる。
- **b. 鼻出血** も頻繁に見られる。骨折によって鼻腔に損傷が及ぶことが多いためである。
- **d. 眼球上転障害** は、眼窩の骨折によって筋肉が挟み込まれたり、動きが制限されたりすることで起こる。
- **e. 頬部知覚障害** は、眼窩下神経(上顎神経の枝)が損傷されることにより、頬部や上唇の知覚が障害されることがある。
一方で、**c. 嗅覚障害** は、嗅神経(第I脳神経)が損傷された場合に起こるが、眼窩吹き抜け骨折では嗅神経が損傷されることは稀である。嗅覚障害は主に前頭蓋底骨折などで見られるため、眼窩吹き抜け骨折ではあまり見られない症状である。
したがって、正解は **c. 嗅覚障害** である。