A さん(57 歳、男性、無職)は妻(55 歳、会社員)と2人で暮らしている。A さんは、飲酒が原因で仕事での遅刻や無断欠勤が続いたため1年前に職場を解雇された。その後も朝から自宅で飲酒する生活が続き、体調が悪化したため受診し、アルコール性肝硬変とアルコール依存症と診断された。医師から断酒を指導されていたが実行できず通院していなかった。
A さんは最近、倦怠感が強く食欲がなく、1週前から飲酒もできなくなった。妻に付き添われて受診した際、外来のトイレで吐血し倒れ食道静脈瘤破裂と診断され入院した。
身体所見:呼びかけに応じるが反応が遅い。腹水や浮腫はない。手指の振戦はない。

体温 37.0 ℃、呼吸数 22/分、脈拍 98/分、整、血圧 92/50 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO₂>98 %(room air)。


入院時、A さんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

1. 上半身を挙上する。

2. 身体を側臥位にする。

3. 頭部の冷罨法を行う。

4. 酸素療法の準備をする。

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入院当日、Aさんは緊急に内視鏡的治療を受けた。入院7日、Aさんは食道静脈瘤の治療のため、食道静脈瘤硬化療法を受けることになった。治療前のバイタルサインは、体温 36.7 ℃、呼吸数 16/分、脈拍 72/分、整、血圧 126/70 mmHgである。

検査所見は、血小板 15 万/μL、プロトロンビン時間<PT>10 秒 85 % である。入院後は吐血していない。

A さんが食道静脈瘤硬化療法を受けた直後に注意すべき症状はどれか。

1. 下 血

2. 胸部痛

3. 皮下出血

4. 手指の振戦

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A さんは食道静脈瘤硬化療法を終えて、アルコール依存症の治療を受けるために精神科病院に転院した。

転院して2か月、病棟では A さんの退院に向けた話し合いが進められている。

A さんは「退院した後にお酒をやめられるか自信がない。体力が落ちており、何もしていないとお酒を飲んでしまいそうです」と悩みを打ち明けた。

A さんへの看護師の声かけで適切なのはどれか。

1. 「断酒をする意思を強く持ちましょう」

2. 「肝硬変があるので、今は安静が必要です」

3. 「入院中も飲酒をやめられているので大丈夫です」

4. 「アルコールの問題で悩んでいる人たちとの話し合いに参加してみましょう」

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