問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
20年前、機械工場から化学物質が大気中に流出した。直後から地域で気管支喘息様の症状を訴える者がみられたが、一時的な流出で数か月後には症状を訴える者はいなくなった。当時の調査では、個人の曝露量と急性の気管支喘息様症状の有病率とに相関が認められた。最近になって、この物質に曝露すると5年後から肝臓悪性腫瘍による死亡率が増加することが海外で報告された。このため、所管する地方自治体が周辺住民への健康影響を再評価することとなった。当時の個人の曝露量のデータは自治体に保管されている。
健康影響の評価のために最初に着手するのはどれか。
a. 当時の情報をすべて破棄する。
b. 前向き研究のデザインに着手する。
c. この地域の肝臓悪性腫瘍による死亡率を調べる。
d. 現在の工場周辺の大気中化学物質濃度を測定する。
e. 肝臓悪性腫瘍の入院患者による症例対照研究を開始する。
まず最初にやることは死亡率を調べること。