問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
4か月の乳児。嘔吐、血便および活気不良のため母親に連れられて来院した。2日前の朝から便がゆるく哺乳不良であった。昨日の朝に自宅近くの診療所を受診し安静を指示されていた。今朝から嘔吐が続き顔色も悪く、ぐったりして血便がみられたため夕刻に受診した。
呼びかけには眼を開けるが、すぐに閉じてしまう。体温 37.8 ℃。脈拍 160/分(微弱)、整。血圧 70/50 mmHg。呼吸数 40/分で浅い。SpO2 96%(マスク 2L/分酸素投与下)。毛細血管再充満時間3秒と延長している。栄養状態は良好。顔面は蒼白。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満し、筋性防御を認める。
血液所見:赤血球 426万、Hb 12.3 g/dL、Ht 35%、白血球 16,000 (桿状核好中球 17%、分葉核好中球 53%、好酸球 1%、好塩基球 0%、単球 6%、リンパ球 23%)、血小板 17 万。血液生化学所見:総蛋白 7.0 g/dL、アルブミン 3.6 g/dL、尿素窒素 20 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 3.8 mEq/L、Cl 98 mEq/L。CRP 10 mg/dL。急速輸液を開始した。腹部超音波像を別に示す。
次に行う治療はどれか。
a. 浣腸
b. 緊急手術
c. 昇圧薬投与
d. 利尿薬投与
e. 非観血的整復
超音波画像ではtarget sign を認めている。腹膜炎を伴う腸重積症の症例。
腹膜炎をきたしており、整復ではなく手術適応である。
手術適応となるのは
・腹膜炎所見のあるもの
・腸管穿孔を伴う
・発症後24時間経過
・イレウス例
・整復が難しいもの