20歳の男性。発熱と右下肢の発赤、疼痛および腫脹とを主訴に来院した。
現病歴:4日前、屋外でバスケットボールの練習中に転倒し右下腿を打撲した。次第に打撲した部位の発赤、疼痛および腫脹が出現して急速に拡がり、発熱も出現したため救急外来を受診した。
既往歴:3歳時に肺炎で入院。薬物アレルギーはない。
生活歴:大学生。バスケットボールのサークルに所属している。喫煙歴はない。 飲酒は機会飲酒。
家族歴:父親が高血圧症で内服治療中。母親は健康。
現症:意識レベルは JCSⅠ-2-R。身長 175 cm、体重 63 kg。体温 40.6 ℃。 脈拍 120/分、整。血圧 82/40 mmHg。呼吸数 22/分。SpO2 96 %(room air)。全身に発汗を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を 触知しない。右鼠径部に径2cm で可動性良好なリンパ節を3個触知し、圧痛を認める。右下腿は打撲部位を中心に膝から足首に及ぶ著明な発赤、腫脹および圧痛を認め、皮膚表面には大小の血性水疱を認める。右膝関節および足関節は腫脹と疼痛のため十分な診察ができない。足背動脈は両側とも触知可能である。
検査所見:血液所見:赤血球 468 万、Hb 13.9 g/dL、Ht 42 %、白血球 15,300 (桿状核好中球 30 %、分葉核好中球 55 %、好酸球 1 %、好塩基球 0 %、単球 7 %、リンパ球 7 %)、血小板 9 万、PT-INR 1.6 (基準 0.9〜1.1)、Dダイマー 3.4 μg/mL(基準 1.0 以下)。血液生化学所見:総蛋白 6.0 g/dL、総ビリルビン 0.9 mg/dL、AST 114 U/L、ALT 30 U/L、LD 602 U/L (基準 176〜353)、CK 12,200 U/L (基準 30〜140)、尿素窒素 30 mg/dL、クレアチニン 1.9 mg/dL、血糖 98 mg/dL、Na 134 mEq/L、K 5.0 mEq/L、Cl 97 mEq/L。CRP 22 mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.30、PaCO2 32 Torr、PaO2 70 Torr、HCO3- 14 mEq/L。骨盤部・下肢 CTで右膝関節周囲から足部にかけての皮下組織と筋肉の強い浮腫像 と、下腿の筋肉表面に沿った広範な液体成分の貯留像とを認める。
大量輸液を開始した。 輸液に対する反応から敗血症性ショックと判断するための指標はどれか。2つ選べ。
a. 尿量
b. 心拍数
c. 呼吸数
d. 平均血圧
e. 血清乳酸値
敗血症性ショックの症例。
最も優先して行うべきなのはどれか。
a. 高圧酸素療法
b. 右膝関節穿刺
c. 右下肢デブリドマン
d. 副腎皮質ステロイド投与
e. 破傷風ガンマグロブリン投与
壊死性筋膜炎の症例。感染部位のデブリドマン必要。
来院時に採取した血液培養から菌の発育を認めた。培養液の Gram 染色標本を別に示す。当初、広域スペクトル抗菌薬が投与されていたが、この結果から抗菌薬の変更を検討することとなった。
最適な候補薬はどれか。
1000倍視野
a. セフタジジム
b. ゲンタマイシン
c. アジスロマイシン
d. レボフロキサシン
e. ベンジルペニシリン<ペニシリン G>
溶連菌感染の症例。de-escalationとしてペニシリンGを投与する。