問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)
21 歳の男性。38 ℃台の発熱と倦怠感とを主訴に来院した。
眼瞼結膜は貧血様である。頸部に小指頭大のリンパ節を数個触知する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。
血液所見:赤血球 210 万、Hb 7.4 g/dL、Ht 23 %、白血球 16,000(異常細胞 60 %)、血小板 6 万。骨髄血塗抹May-Giemsa 染色標本を別に示す。異常細胞のペルオキシダーゼ染色は陰性。
診断はどれか。
a. 急性前骨髄球性白血病
b. 急性リンパ性白血病
c. 成人 T 細胞白血病
d. 慢性骨髄性白血病
e. 慢性リンパ性白血病
血液検査では顕著な貧血、白血球数増加、血小板減少が認められる。
特に注目すべきは、白血球の60%が異常細胞であり、異常細胞のペルオキシダーゼ染色が陰性であること。
ALLは異常リンパ球の増加を特徴とし、若年層に多く見られる疾患。
ペルオキシダーゼ染色陰性は、リンパ系細胞の特徴であり、この患者の臨床的および血液学的所見と一致する。