69歳の女性。四肢関節痛を主訴に来院した。5年前から手指のこわばり、移動性の疼痛があった。3年前から便秘と下痢を繰り返し、過敏性腸症候群と診断された。半年前、夫が肺癌で死去した。そのころから、四肢関節痛や腰背部痛が悪化したため4週間前に自宅近くの診療所を受診し、NSAIDs の処方を受けたが寛解しなかった。体重に変化はない。

体温 36.2 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 120/76 mmHg。手指遠位指節間関節や近位指節間関節に骨棘を触れる。手指や手首、膝など多関節に圧痛を認めるが、腫脹を認めない。両側の項部や僧帽筋上縁中央部、下位頸椎横突起間、第二肋骨肋軟骨接合部、上腕骨外側上顆付近、臀部上外側、大腿骨大転子後方の触診時、顔をしかめるような 痛反応を認める。

尿所見に異常を認めない。赤沈 10 mm/ 1時間。血液所見:赤血球 425 万、Hb 12.8 g/dL、Ht 40 %、白血球 4,200、血小板 19 万。血液生化学所見:総蛋白 7.2 g/dL、AST 21 U/L、ALT 16 U/L、LD 188 U/L (基準 176〜353)、尿素窒素 10 mg/dL、クレアチニン 0.4 mg/dL、CK 48 U/L (基準 30〜140)、コルチゾール 12.4 μg/dL (基準 5.2〜12.6)。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL、リウマトイド因子<RF>陰性、抗核抗体陰性。

最も考えられるのはどれか。

a. 線維筋痛症

b. 強直性脊椎炎

c. 関節リウマチ

d. Sjögren 症候群

e. リウマチ性多発筋痛症

問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)