84歳の男性。腎機能低下を主訴に来院した。10年前から腎機能低下を指摘されて自宅近くの診療所を定期受診していた。1か月前の定期受診で腎機能がさらに低下していたため、腎代替療法の準備を勧められて受診した。55歳から高血圧症に対して内服治療を受けている。65歳時に腎癌のため左腎を摘出し、再発なく経過している。会社員を定年退職後、高齢者向けのパソコン教室の講師を勤めている。82歳の妻との2人暮らしである。

身長 165 cm、体重 60 kg。脈拍 68/分、整。血圧 120/66 mmHg。腹部は平坦、軟で、左腰背部に手術痕がある。両下肢に軽度の浮腫を認める。

尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈酒に異常を認めない。血液所見:赤血球 330万、Hb 9.8 g/dL、Ht 30%、白血球 6,300、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.8 g/dL、アルブミン 3.7 g/dL、尿素窒素 58 mg/dL、クレアチニン 3.2 mg/dL、eGFR 15 mL/分/1.73m²、Na 140 mEq/L、K 4.5 mEq/L、Cl 103 mEq/L。

腎代替療法の選択にあたりこの患者への適切な説明はどれか。

a. 腹膜透析は可能である。

b. 夫婦間腎移植は可能である。

c. 療法開始後の就業はできない。

d. 療法開始後の旅行はできない。

e. 療法選択前に認知機能評価が必要である。

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問題解説・システム開発 : 内科医 米澤昌紘(れく)