60 歳の女性。血便を主訴に来院した。 1 週間前から腹痛と 1 日 6 回の水様下痢が出現し、自宅近くの医療機関を受診し投薬治療を受けている。昨日から腹痛が増悪し、血便がみられたため受診した。咳や痰はみられない。既往歴に特記すべきことはない。 海外渡航歴はない。
身長 146 cm、体重 38 kg。体温 37.6 ℃。脈拍96/分、整。血圧 124/74 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、左下腹部に圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸蠕動音は亢進している。
血液所見:赤血球 393 万、Hb 11.2 g/dL、Ht 33 %、白血球 15,300、血小板 49 万。血液生化学所見:総蛋白 6.6 g/dL、 アルブミン 3.2 g/dL、AST 13 U/L、ALT 11 U/L、LD 138 U/L(基準 120~245)、ALP 72 U/L(基準 38~113)、γ-GT 10 U/L(基準 8 ~50)、アミラーゼ 40 U/L(基準 37~160)、CK 48 U/L(基準30~140)、尿素窒素 7 mg/dL、クレアチニン 0.6 mg/dL、尿酸 3.2 mg/dL、血糖103 mg/dL、Na 135 mEq/L、K 3.7 mEq/L、Cl 99 mEq/L。CRP 9.4 mg/dL。 胸部エックス線写真で異常を認めない。下部消化管内視鏡検査の直腸像を別に示す。
考えられる疾患はどれか。
a. 腸結核
b. Crohn 病
c. 虚血性腸炎
d. 潰瘍性大腸炎
e. 腸管 Behçet 病
潰瘍性大腸炎の症例。
大腸のみに限局した慢性炎症性腸疾患で、連続した病変、血便、粘液便が特徴。潰瘍性大腸炎は直腸から始まり、病変は連続的に広がることが一般的。